ここでは、新生児期の赤ちゃんの五感(聴力、嗅覚、触覚、味覚、視覚)がどの程度発達しているのかを解説しましょう。

 

聴力

聴覚は生まれる前から充分に発達しており、ママのお腹の中で家族の声をはじめとした外界の様々な音を聞いています。羊水の中いる間は、ちょうどプールに入っているときのような感じで聴こえているようです。音のする方向もすでに認識することが出来ます。

生まれた時点でしっかりと聴こえていますので、泣いている時に抱っこしながらやさしく話しかけると安心して落ち着きます。

新生児に対して聴覚検査を行う産院が増えており、耳の聴こえに問題がある場合は早期発見できることが多いようです。

 

嗅覚

脳の辺縁系と呼ばれる、脳の原始的な部分と直結しているのは、五感の中で嗅覚だけです。これはつまり、嗅覚の構造が、野生動物と同じだということです。

野生動物は生き残るために、さまざまなものが身体に害があるか否か、危険であるかなどをにおいによってを即座に判断します。赤ちゃんもこれと同じように、生まれてすぐに母乳(または粉ミルク)を匂いで認識し、欲するようにできています。

また、脳に置ける嗅覚中枢は、情動や感情の中枢と隣接しています。このことから、においは感情に強い影響を与えます。

抱っこされながら安心し、母乳(または粉ミルク)を飲みながらお腹が満たされるとき、赤ちゃんはとても気持ちが安定しています。安心や安定した時に、いつも嗅覚を刺激するのが、ママのにおいです。この結果、赤ちゃんはママのにおいがするだけで、安心するようになります。

よく眠っていてもママがとなりから離れると起きてしまったり、ママ以外の人に抱っこされると泣いてしまったりする要因のひとつは、ママの匂いがしないことでしょう。

 

触覚

嗅覚と同じように、基本的な触覚機能が備わった状態で赤ちゃんは生まれます。

触覚には、温度を感じる機能と、痛みを感じる機能が備わっています。暑すぎたり寒すぎたりする環境や、痛みを伴うケガなどをした場合、赤ちゃんは生きていけないので、触覚機能が正常に発達しているのは生きる上で大切です。

また、なでるなどのやさしい触覚刺激を受けると、脳内にオキシトシンという物質が分泌されます。オキシトシンは、精神を安定させる働きがあります。

赤ちゃんとたくさんスキンシップをとりましょう、と聞くことが多いでしょう。優しくさわることで、赤ちゃんの脳が安定した状態になるからなのです。

 

味覚

味覚は、生まれつきある程度は発達しており、甘い、酸っぱい、苦いなどの味を区別できます。その証拠に、粉ミルクのメーカーによって飲み具合が異なったり、母乳の味が変わると怒って飲むのをやめてしまったりすることがあります。

「母乳の味が変わるとはどういうことだろうか」と不思議に思う方もいるでしょう。母乳は、数時間ごとに乳房で新しく作られます。そのため、その日に食べたママの食事が、そのまま母乳の原材料になっているのです。

香辛料がたっぷり入ったエスニック料理を食べたあとや、揚げ物などの油っぽいものを食べたあとは、母乳が辛かったり油っぽかったりするようです。そのため、味覚な敏感な赤ちゃんだと、このようにいつもと違う母乳の味がすると泣いて飲まないことがあります。

 

視力

その他の五感に比べ、視力は比較的未発達な状態で生まれます。子宮の中は光が届かず暗いので、視力があまり必要ないからかもしれません。

では、生まれた頃の赤ちゃんはどのくらい目が見えているのでしょうか?

生後0〜1ヶ月ごろの赤ちゃんの視力はまだ物の輪郭がぼんやりと見える程度です。物体を顔の20〜30cmくらい手間まで近づけばれば、じっと見つめます。

赤ちゃんを胸に抱いて顔を覗き込むと、赤ちゃんとママの顔の距離がちょうど30cmくらいになります。抱っこされた時、ママの顔を見るのにちょうどよい視力をもって生まれるわけです。

そして生後2ヶ月ごろになると、目の前でゆっくり動かした物を追う「追視」ができるようになります。範囲としては顔を中心から左右50度くらいが可能です。