ここでは、赤ちゃんの手や指の動きの発達がたどる流れを説明しましょう。

 

新生児期

0ヶ月の赤ちゃんは、ひじを曲げ、手をぎゅっと握ったポーズをしています。まだ意志を持って手を動かすことはできませんが、大きな物音などにびっくりしたときは、反射的に両腕をぱっと開く動作をします。これをモロー反射といいます。

1ヶ月を過ぎる頃から、握られていたこぶしがすこし開くようになり、リズミカルにひじの曲げ伸ばしを行うことができます。よく見る人の顔を認識し始める時期でもあります。その証拠に、ママやパパが顔を近づけて微笑みかけると、機嫌のよい時は手や足がパタパタと嬉しそうに動きます。

2ヶ月に入るころから、手になにかを触れさせると、握って上下に降ることができるようになります。ガラガラなど音の出るおもちゃを持たせたり、手首につけてあげたりすると、腕の動きに合わせて音が出ることを喜びます。

また、ある程度自分の意志で手を動かせるようになります。手を顔の前にもってきて、じっと見つめることが出てきます。まるで「これはなんだろう?」と言っているかのようです。手を動かす感覚を感じると同時に、目の前の手が動く現象を観察することで、赤ちゃんは少しずつ手が自分の体の一部だと認識していきます。

手を口へ持っていき、指やこぶしをしゃぶることができます。口でしゃぶる動きと、手に感じる感触とが連動するのを体験しながら、やはり手が自分の体の一部だという認識を促進されます。

こぶしを始め、おもちゃやタオルなどいろいろなものをしゃぶることで、さまざまな雑菌を体内に取り入れます。身体に取って有用な菌もたくさん取り入れ、健康な腸内の細菌バランスを形成する上で大切なプロセスです。このため、赤ちゃんのなめるものをいちいち消毒したり洗ったりするといったことは必要ありません。

 

3~4ヶ月ごろ

グーにしたりパーにしたりといった手の開閉の動きを、意志どおりにできるようになります。手を胸の前でくむ姿がよく見られます。我が家では、まるで営業マンがもみ手しているように見えることから、この姿を「部長」と呼んでいました。

手のひらの感覚が、目覚ましく発達します。つるつる、ザラザラ、ふわふわ、ブツブツ、など物の感触を存分に楽しむ時期です。まだ自分から欲しいものに手を出すことはできませんが、おもちゃなどを持たせてやるとしゃぶったり振ったりしてしばらくの間楽しめます。

手をある程度イメージした通りに動かせるようになることは、赤ちゃんが明確な意志をもつようになった証拠です。

ぼんやりと天井を眺めることの多かった新生児期とは違い、ママやパパの動きを観察したり、抱っこを求めて甘え泣きをしたり、思うようにしてもらえないと怒ったような泣き方をしたりするようになります。

人との関わりを楽しむ力が育つ時期で、手遊び歌やくすぐり遊びなどをしてやると、笑い声が出るようになります。

 

5~6ヶ月ごろ

この時期、赤ちゃんは自分のボディーイメージを完成させます。ボディーイメージとは、手や足を自分の一部と認識し、自由に動かせる感覚を指します。ちょうど寝返りができ、えびぞりのポーズをしたりするころです。

この段階ではじめて、身体を単位とした人間を赤ちゃんは認識できるようになります。つまり、自分と他人との境界線が生まれます。

ものと人間の違いがわかり、ものがひとりでに動かないことを理解します。そこで、欲しいものへは自分から手を伸ばすようになります。はじめのうちは1回ではつかめませんが、徐々に指の使い方がうまくなり、初回でつかめるようになります。

鏡を見せると、自分や家族の姿が映っていることを理解し、喜びます。鏡の原理が理解できないうちは、鏡の裏を不思議そうにのぞきこみます。

 

7~8ヶ月ごろ

おすわりをした状態で右手から左手へものを持ち替えたり、おもちゃをテーブルに打ちつけて太鼓のようにして遊だりと、人間らしい遊び方ができるようになります。

指の動きが発達し、親指と他の4本の指を使ってものをわしづかみすることができます。ママやパパが使っているものに興味津々で、あらゆるものを触りたがるようにもなります。まだなんでも口に入れる時期なので、家の中に飲み込める大きさのものが落ちていないように注意しましょう。

腕や胸の筋力が発達し、ずり這いやハイハイでの移動が可能になります。ママがそばに居ないと不安になり、後追いが始まる時期です。

 

 

9~10ヶ月ごろ

ほぼ手を意志どおりに動かすことができます。ほしいものを手で指し示すことで、表現できるようになります。なんにでも挑戦する意欲が育つ時期でもあります。

指先が器用になり、人差し指と親指を使って小さなものをつまむことがすこしずつ可能になります。両手に持ったものを打ち合わせて音を出すなど、力のコントロールも上手です

食事時には、手づかみ食べをたくさんさせてあげましょう。食べ物を指で潰したりこねたり顔の塗りつけたりするので、見ているママがやめさせたくなる気持ちもわかります。しかし、手を使う練習になるでなく、いろいろな食べ物の感触を五感で感じることが赤ちゃんの発達にとってよい刺激となります。

 

11〜12ヶ月ごろ

指先の力の加減が上手になり、テレビやリモコンの小さなスイッチを押したり、小さな便の蓋をひねって開けることができるようになります。スイッチをつけたり消したりする遊びは、とくに喜びます。

積み木を2~3個積み重ねる、ものを出したり入れたりする、などの遊びを集中して行うようになります。ずいぶん静かだな、と赤ちゃんの様子を見に行ったら、引き出しの中のものをぜんぶ出し終えたあとだった、ということもよくあるでしょう。

まだ口の中にものを入れる時期なので、誤飲が心配な小さなものを収納した場所には、必ず開けられない工夫をしてください。

まだ単語は話せないものの、日常の声かけのほとんどが理解できるようになっています。ものを持った状態でつたい歩きをしたり、積み木を積んだり、おもちゃを箱に入れたり出したり、などといった目的のある遊びができるようになると、もはや赤ちゃんではなく子どもと呼ぶ方がしっくりきます。