睡眠のサイクル

睡眠には、浅い眠り深い眠りのサイクルがあることがわかっています。一般的な大人では、それぞれのサイクルがおよそ90分で入れ替わります。

ではそれぞれの睡眠サイクルについて解説しましょう。

「浅い眠り」のサイクルは、情報整理を行う

浅い眠りのサイクルでは、脳が活発に活動し、夢を見ます。

その証拠に、浅い眠りのときはまぶたの下では盛んに眼球が運動しています。英語では眼球運動のことを Rapid Eye Movement といいます。その頭文字をとって「REM睡眠 = レム睡眠」とも呼ばれます。

「浅い眠り」には、起きている間に受け取った五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)からのあらゆる刺激や、感情の動きなどのさまざまな情報を、整理・記憶・消去する働きがあります。

このため、その日とても印象深かったことがその晩の夢に出てくることが多いようです。精神的な状態も反映するので、楽しみにしていることや、逆に心配なことなどが夢に出てくることも多いようです。

また、日常の出来事により古い記憶が呼び起こされ、とても懐かしい思い出が夢に出てくることもあります。

このように精神状態や直近の体験が夢に反映するのは、赤ちゃんでも同じです。

私自身の子育て体験でも、実家に戻ったり旅行に行ったり、ふだんと全く異なる雰囲気の場所へ赤ちゃんを連れて出かけた夜は、夜泣きをしやすかったように思います。

「深い眠り」のサイクルは、脳を休めるためにある

一方、深い眠りのサイクルでは、脳は休息状態になります。

誰かを起こそうと思って声をかけてもなかなか起きない場合、その人はおそらく深い眠りのサイクルに入っているのでしょう。目覚まし時計に起こされてもなかなか布団から出られないときも、タイミング悪く深い眠りに入ってると思われます。

入眠後は、深い眠りのサイクルから始まります。約1時間半後に浅い眠りのサイクルに入り、3時間後にふたたび深い眠りのサイクルへ移ります。

このサイクルを理解すると、1.5の倍数で睡眠時間を調整すると起きやすいことがわかります。たとえば、夜12時に入眠したとしたら、朝の7時よりも6時の方がすっきりと目覚めることができることになります。

深い眠りは、進化型の眠り

実は、動物は深い眠りのサイクルがとても短く、ほとんどが浅い眠りのサイクルです。これは「古い型の眠り」と呼ばれ、大脳が未発達な生物に見られます。

大脳があまり発達していない動物は、そもそも脳が小さく、あまり活動していません。そのため、脳を休ませる「深い眠り」がそもそもそれほど必要がないのです。

また自然界では、「寝ている間もすぐに危険を察知しないと生死に関わる」という理由もあるでしょう。

人間は、胎児期と新生児期のころは、動物と同様に浅い眠りが多いことがわかっています。大人ほど脳が活動していないため」という見解がありますが、「見るもの、触れるもの、聞くもの、などすべてが新しい新生児には、整理すべき情報量がたくさんあるため」という説もあります。

しかし徐々に脳が発達するにつれ、深い眠りが増えていき、大人と同じサイクルに近づいていきます幼児期の間に、だいたい大人に近いサイクルとなります。

動物と違って人間は、進化によって脳の活動量が増えました。そのため脳は、たくさんのエネルギーを消費するようになりました。そこで、疲れた脳を休めて回復させる必要が生じたのです。

進化の流れの中で、深い眠りの割合が増えてきた。つまり、浅い眠りが多い古い型の眠りに対し、深い眠りで脳を休める進化型の眠りになったわけです。