子どもが言うことを聞いてくれないのは、「させよう」としているから

子どもがママ(もしくはパパですが、ここでは便宜上ママで統一します)の言うことを聞かない場面は、毎日たくさんあります。

たとえば、子どもの歯磨きをしたくても嫌がってさせてくれない、着替えさせようと思っても走って逃げられる、食べてほしいのに思うように口を開けてくれない、外出しなければいけないのに靴を履いてくれない、寝なさいと言ってもおしゃべりをやめない…など挙げはじめればキリがないでしょう。私もこうした場面に日々直面しては、雷を落とすことがあります。

しかし、冷静に考えれば、子どもとはいえ相手は違う人間です。自分と同じことをすぐにしてくれないのは、ある程度は仕方ありません。

その上で、思う通りに子どもを動かすにはどう関わったらよいのでしょうか? 答えは、「させる」という発想をやめ、代わりに子どもの「したい」を引き出すことです。

子どもの「したい」気持ちを自然と引き出す声かけ

子どもの「したい」気持ちを引き出すことができれば、自然とものごとが進み、ママは楽になります。そのためには、声かけの仕方が大切です。具体的には、以下のような点を取り入れます。

・子どもに選択肢を与えて、選ばせる

・ゲーム性を取り入れる

・ご褒美やその先の楽しみを提示する

 

選択肢を与えて、選ばせる

まずは「選択肢を与えて、選ばせる」声かけについてみてみましょう。

歯磨きをしたい場面を例にとります。単に「歯磨きをするよ」と声をかけても、歯磨きが好きでない子どもは「イヤ〜」と言いながら走って逃げてしまいます。

声を荒げて「歯磨きしないと虫歯になるよ!はやく来なさい!」と叱ったところで子どもは来ないので、最終的にはママが追いかけて子どもをつかまえ、羽交い締めにして歯磨きをするパターンになっているはずです。

そこで、最初に歯磨きに誘うときの声かけを変えます。

「今日の歯磨き、水色の歯ブラシと黄色い歯ブラシ、どっちでやろうか?」。歯ブラシを2本用意すれば、簡単に提示できる選択肢です。

すると子どもは、「黄色がいい」などと、どちらかを選びます。選んだ時点で「この歯ブラシを使いたい」という気持ちが生じています。

「今日は、黄色ね。この黄色い歯ブラシさんがお口に入れてって言ってるよ〜」と言えば、子どもが口を開けてくれる確率はぐっと上がります。知らないうちに子ども自身が歯磨きをする気分になっているのが味噌です。その気になるのは、「自分で選ぶ」過程があるからです。

つまり、子どもの目線から言えば、「歯磨きをされる」のではなく、「この歯ブラシで歯磨きをしたい」という気持ちでの歯磨きタイムです。

歯ブラシを色分けしてもよいし、好きなキャラクターをいくつか用意してもよいでしょう。一緒に買いに行って、「毎日自分で選ぼうね」と説明しておけば、より子どものやる気が出るかもしれません。

お風呂になかなか入ろうとしないのであれば、「今日はどのおもちゃを持ってお風呂に入ろうか?」と声かけできます。

我が家の息子は、大好きなミニカーと一緒に入りたがりましたが、金属製だったのでそれが叶いませんでした。そこで100円ショップで安価なプラスチック製のミニカーやショベルカーなどを買い、お風呂用にして問題を解決しました。

使う物を選ばせる以外にも、「お風呂には、抱っこで行く? それともおんぶでいく?」など、到着するまでの方法を提示するのもアイディアです。

このように、ちょっとアイディアをひねると子どもに選択肢を与えることができます。

ゲーム性を取り入れる

つぎに、ゲーム性を取り入れる方法を紹介します。

さきほどのお風呂への行き方でいえば、「ママと一緒にハイハイでお風呂まで競争しよう! よ〜い、どん!!」といった具合に、競争する要素を入れる方法です。幼児期であれば、「よ〜い、どん!」と言われただけで、ママに遅れまいと反射的に走り出すことが多く、微笑ましいです。

つぎに、食事の時間について例にとりましょう。育児相談の現場では、「食べるのが遅くて困る」という相談を受けることがよくあります。幼児は大人のように時計を測りながら食事をしているわけではないので、食の細い子やおしゃべりが大好きな子どもはなかなか食べ終わりません。

「20分で食べ終わりなさい」と言っても、時計が読めない子どもには伝わらないので、そんなときはキッチンタイマーを使ってみましょう。

決められた時間が来たらピピピピと鳴ることを教え、「このタイマーが鳴る前に食べ終われるかな〜? よーい、どん!」とタイマーをスタートさせます。「はやく食べなさい!」と怒鳴られるよりも、「もうすぐタイマーが鳴っちゃうかな? どうかな?」などと声かけする方が、お互いの食事時間がずっと楽しくなるでしょう。

このように、ちょっとしたゲーム性を取り入れることで、子どもの「したい」気持ちを自然と刺激することができます。

 

ご褒美やその先の楽しみを提示する

選択肢を与えたり、ゲーム性を取り入れても、なかなか子どもがその気になってくれないこともあります。そんなときは、ご褒美やその先の楽しみを提示してください。

さきほどの食事の例であれば、「タイマーが鳴る前に食べ終われたら、寝る前の絵本をもう一冊読んであげるね」や「明日の朝ご飯は好きな物を食べていいよ」などと伝えます。子ども自身にメリットのあることであれば、やる気が出るものです。

簡単な表を作って、うまくできる度にシールを貼る方法も効果的です。シールが増える様子は目に見えるので、「もっといっぱい増やしたい!」という心理が働き、子どものやる気が出やすいです。

我が家では、トイレトレーニングもこの方法で子どものやる気を出しました。

シールが一列(10~15個くらい)溜まったら、100円ショップなどでひとつ欲しい物を買ってあげる、というルールも設けました。このおかげで、ふだんの買い物で「これ買って〜!」と言われた際は、「シールが溜まったらね」と返答することができるようになり、このシステムにしてよかったと思ったものです。

子どももルールを理解しているので、欲しいもののために頑張ってシールを溜めようとやる気になりました。

(このように物を買い与える場合は、効果なものをねだられてあとで困らないように、あらかじめ値段の上限を決めておくか、「この中から選ぼうね」など、買ってもらえる範囲を決めておきましょう。)

「これを買ってもらいたいから、シールがいっぱい溜まるように頑張る!」と子どもが言い出せば、しめたものです。

 

幼児期以降も、応用できるコツ

選択肢を与えたり、ゲーム性を取り入れたり、ご褒美などの楽しみを与えたりすることは、結果的にママの思うことを子どもにやってもらう重要なコツです。「なにかをさせる」のではなく、「子どもがしたくなる環境条件をつくる」という基本的な考え方がわかれば、あらゆる場面で応用できます。

ぜひ、いろいろな方法を試してください。まわりのママ友だちに聞いたり、関わり方を観察したりすると、自分では思いつかないアイディアを得られることもあります。

また、学童期以降もこの考え方は応用できます。

たとえば、家のお手伝いをさせたいのであれば、表を作ってお手伝い回数分のポイントを溜めてお小遣いアップにつなげ、やる気を出すことができます。

単に「宿題しなさい」と言うのではなく、「夕飯の時間まで宿題を済ませればOK」というルールにするのもアイディアです。学童期ともなれば、子どもなりに宿題以外にやりたいことがあるので、帰宅後から夕飯までの間の時間の組み立て方の自由を与えるという方法です。自分で組んだ予定であれば、意外と子どもはこなすことができます。

とはいえ、スケジュールの組み立ての苦手な子どももいるので、性格を見極めながらルール作りをすることが大切です。

幼児期のうちから、子どもをやる気にさせるアイディアをひねり出す練習を重ねて、そのコツをぜひ身につけておきましょう。