手遊び歌がなぜこころの成長に役立つか

まず、手遊び歌が赤ちゃんの「こころの発達に及ぼす影響」について考えましょう。簡単に言うと、以下の3つです。

1)スキンシップ効果により、情緒が安定する

2)コミュニケーション能力が発達する

3)言葉の学習が促される

では、それぞれについて見ていきましょう。

 

1)スキンシップ効果により、情緒が安定する

スキンシップの効果により、赤ちゃんの情緒が安定しやすくなるのはなぜでしょうか。直立姿勢で向き合ったまま赤ちゃんに手遊び歌を歌う方は居ないでしょう。手遊び歌を歌う時は、自然と赤ちゃんとの触れ合いが起こります。

たとえば、「いっぽんばし」という手遊び歌を例にとりましょう。

ママ(便宜上ここでは「ママ」で統一します。パパ、じいじ、ばあば、お兄ちゃん、お姉ちゃんなど関わりのある人を指します)が人差し指を一本橋に見立て、まず赤ちゃんの足の裏をそうっとなぞりながら「いっぽんばし、こ〜ちょこちょ」と歌います。赤ちゃんは足の裏にくすぐったい刺激を受け、少し笑ったりからだをよじったりします。

「た〜たいて、つ〜ねって」の歌詞では、大人が指全体をつかって優しく赤ちゃんの足の裏を「たたき」、やさしく「つねり」ます。ポイントは、やさしい刺激からちょっとずつ強い刺激に変化することです。指一本の刺激ではあまり反応しなかった赤ちゃんでも、「つねる」刺激に対してはさすがにぱっと足を動かすなどするでしょう。

赤ちゃんの関心をしっかりつかんだところで、歌はクライマックスに入ります。

人差し指と中指をとことこと歩かせるようにして、足の裏から足の付け根へ指を登らせます。まさしく「かいだん のぼって」いくようなイメージです。他の人にやってもらえればわかりますが、これはとてもくすぐったいです。

赤ちゃんはここでからだをよじりながら笑うでしょう。

そしてさいごに「こちょこちょ〜!!」と言いながら足の付け根や脇腹のあたりをくすぐってあげます。赤ちゃんのかわいい笑い声がはじけ、ママも自然と笑顔が出ます。

私はこのはじける笑い声と笑顔が大好きで、こちょこちょするときは自然と子どもとおでこをくっつけるようにしてやっています。大好きなママの顔とふれあって赤ちゃんもきっと嬉しいと思います。

このように、歌うことで自然と赤ちゃんと触れ合うことになります。肌に心地いいを受けると刺激は、赤ちゃんの脳がオキシトシンというホルモンを分泌します。オキシトシンは、気持ちの安定をもたらす作用があります。

ふだんから心地いいふれ合いをたくさんしている赤ちゃんは、オキシトシンの分泌が盛んになり、結果として情緒が安定しやすくなると言われています。

情緒の安定した赤ちゃんは、外界からの刺激を柔軟に吸収することができます。つまり他者とのコミュニケーションを楽しんだり、言葉を学習したり、外界に対する活発な興味を持ったりするようになり、これらがこころの成長につながります。

実は触っている側のママの脳内でもオキシトシンが分泌されます。毎日家事や赤ちゃんのお世話に大変ではありますが、隙間を見つけてぜひ手歌遊びをやってください。ママにとっても、気持ちがほっとできるふれ合いタイムになるでしょう。

 

2)コミュニケーション能力が発達する

手遊び歌をたくさんしてもらうほど、赤ちゃんのコミュニケーション能力が伸びます。

コミュニケーション能力の原点は、「人と一緒に居ることが楽しいと感じる体験」「自分の気持ちをわかってもらえる体験」「気持ちを共有する体験」です。「人と一緒に居ることが楽しいと感じる体験」は、手遊び歌を親子で楽しむことで自然とできます。

「自分の気持ちをわかってもらえる体験」は、手遊び歌をしながら自然と出る声かけを意味します。

たとえば「いっぽんばし」の手遊び歌であれば、最後に「こちょこちょこちょ〜!」とくすぐりながら、ママは自然と「くすぐったいね〜!」「おもしろかったね〜!」と話しかけるでしょう。こうした共感する声かけは、「ママは自分のことをよくわかってくれている」という赤ちゃんの安心感につながります。

「気持ちを共有する体験」とは、「同じ気持ちになること」です。

手遊び歌を行うと、自然と赤ちゃんとママの興味や呼吸のリズムが合わさります。そして手遊び歌のある箇所で同時に笑ったり、息をひそめたりします。

「いっぽんばし」の手歌遊びで言えば、「階段のぼって〜・・・」の歌詞で一緒に呼吸を止めてドキドキし、「こちこちょこちょ〜!」の歌詞で一緒に大笑いをするでしょう。

こうした体験を通して「自分の気持ちを伝えたい」「自分の気持ちをわかってもらいたい」という欲求が赤ちゃんの中で育ち、言葉の獲得や表現力などというコミュニケーション能力へつながります。

 

3)言葉の学習が促される

手歌遊びは言葉の学習を促進する理由は、「繰り返しの効果」です。

もともと手歌遊びは子どもが覚えやすいよう、身近な言葉が歌詞に使われています。歌の長さも短いです。そして毎日のように繰り返し歌うことで、赤ちゃんでも記憶できるのです。

実は生後4ヶ月ぐらいの赤ちゃんでも、手遊び歌を覚えることができます。「まだ言葉を全く話せない時期なのに、もう歌を覚えられるんだ」と驚く方も多いでしょう。

我が家の長女にはよく「いっぽんばし」を歌っていました。4ヶ月ごろには、「階段のぼって〜」 の「階段」と歌い始めた時点で、次にくる展開を理解しているためにすでに身体をよじって笑ったりしていました。あるいは、くすぐりが来ることを予見して、「くるぞ、くるぞ」と言わんばかりのキラキラした目でこちらを見つめていました。

その生き生きとした表情がかわいくて、毎日のように「いっぽんばし」を歌ったものです。

このように手遊び歌は、親子で楽しい時間が過ごせるだけでなく赤ちゃんのこころの発達に大きく寄与します。オムツ替えの際などにぜひ取り入れてあげましょう。