子どもが産まれると「子どもの性格は遺伝的に決まっているのか、それとも環境によって作られるものなのか?」と疑問に思うママやパパは多いものです。

赤ちゃんが生後3〜4ヶ月ぐらいになると、わが子の性格傾向がある程度見えてきます。「人好きで活発なタイプだな」と感じたり「慎重で様子を見るタイプみたい」と感じたりするでしょう。

さらに自己主張が活発な1才以降は、家族の中の誰かとよく似ていると思うかもしれません。たとえば「この子は性格がパパにそっくり!」と思ったり、おばあちゃんから「泣き方があなたの小さい頃と同じだわ」と言われたりします。

家族の誰かと性格が似ているということは、「性格は遺伝する」ことを意味するのでしょうか?

答えはYESでありNOでもあります。

それは、発達心理学ではいわゆる性格というものを「気質」と「性格」に分けて考えるからです。「生まれながらに備わった傾向」を気質、「後天的に身につけた傾向」を性格と呼びます。

つまり「気質」は遺伝的に決まっていますが、「性格」は後天的に身につけるものです。

 

気質とは何か

気質は「外向的気質」と「内向的気質」の二つに分けられます。

「外向的気質」は、エネルギーが外に向かうイメージと考えるとわかりやすいでしょう。「好奇心旺盛で、考えるよりも先に身体が動く」「人と居ることを好み、おしゃべりが好き」「喜怒哀楽の表現が豊か」などといった特徴が挙げられます。

一方「内向的気質」は、エネルギーが内に向かうイメージだと言えます。「何事も安全を確認しながら進む」「一人でいる時間を楽しむ」「心を許した特定の人と深い話をすることを好む」といった特徴があります。

こうした気質は生まれながら備わっています。幼児期、学童期、思春期、青年期を通して大人になってからも、本質として持ち続けると考えられています。

先に述べた生後3〜4ヶ月ぐらいから見えはじめる子どもの特徴は、この気質です。たとえば、「人がたくさんいると喜ぶ」「新しい場所では周囲をきょろきょろ見回し探索したがる」「新しい玩具にすぐ手を出す」「声が大きい」などといった特徴が見当たるなら「外交的気質」に当てはまります。

1才を過ぎると「興味あるものをすぐ触りに行く」「思い通りにならないと物を投げたり床にひっくり返ったりするなど表現が激しい」「よく泣くが気分の切り替えが早い」「お友達の玩具に手がすぐ伸びる」などの特徴が見えてきます。

反対に「知らない人に顔を覗き込まれるとすぐに泣く」「新しい場所では不安がってママにしがみつく」「新しい玩具を見せてもしばらく様子を見る」「安心な場所でないとあまり声を発さない」などであれば、「内向的気質」を備えた子どもだと言えます。

内向的気質の子は1才を過ぎると「人見知りやママの後追いが激しい」「他の子が居ると我慢しがち」「何か主張するときは粘り強い」などの傾向が見られるでしょう。

 

性格とは何か

このような産まれ持った気質を土台にして、「性格」が後天的に作られます。そしてどのような性格が形成されるかは「環境」によって異なります。

式で表すと以下のようになります。

性格 = 気質 × 環境

この場合の「環境」とは、家族構成や住んでいる国、地域、生活水準、交友関係などあらゆるものを指します。また、様々な場面で本人がどのような感情を体験するかも含みます。

「同じように育てたつもりだけれど、兄弟姉妹で全く性格が違う」という親の言葉を耳にすることがあります。第1子として腫れ物に触るように大事に育てられてきた子どもと、子育てに慣れた頃に産まれた3番目の子どもとでは、親の関わり方や家族から受ける刺激が違うのは当然でしょう。

また、持って産まれた気質が長所として伸びるかどうかも環境次第です。

たとえ産まれ持った気質が「外向的気質」であったとしても、親に愛されず「お前は役立たずだ」などと常に否定的な言葉を浴びながら育った子は、人と関わることを楽しむ性格の大人にはならないでしょう。

これは、幼少期から「人と関わるのが楽しい」感情をほとんど体験できず、逆に「人と関わると傷つく」感情をたくさん体験して育ったためです。気質が外向的であっても、社交的な性格の大人になるかどうかは環境によって大きく左右されるのです。

逆に「内向的気質」の持ち主であっても、社会に出る頃にはみんなをまとめるリーダーに育つ人もいます。

こうした人はおそらく家庭の中、幼稚園や学校生活などいろいろな場面で小さなことでも「よく出来たね」「ドキドキしたけどうまくいったね」など肯定的に受け止められて育ったのでしょう。「自信をもっていいんだ」「人に認めてもらえるって楽しい」などという感情体験を多く積み重ねた結果だと思われます。

しかしこのように社交的になったとしても、実はひとりでゆっくり過ごす時間をとても大切にしていたり、本音をごく限られた昔からの友人にしか話さなかったりなど、内向的気質自体は実は残っているものです。

 

気質を認めてあげることが大切

あなたのお子さんは外向的気質と内向的気質のどちらに当てはまりますか? 自分の気質はどちらでしょうか?

自分と子どもの気質が違うと、子どもの言動について「なんでそうなるのかわからない!」と感じることが多いかもしれません。

逆に気質が同じだと、「自分の嫌なところと似ていることが歯がゆくてイライラしてしまう」ことがよく見られます。たとえば自分が内気なために苦労したママは、幼稚園に入園後なかなか他の子どもとお友達になれないわが子に対して「もっと一緒に遊んでごらん!」と躍起になって遊ばせようとしてしまうことがあります。

たしかに「自分と同じ苦労をしてほしくないから、小さいうちから他の子と遊べるようになってほしい」という親心は理解出来ます。

しかし乳幼児期においては、まずは本人の気質を見極めた上で、その子らしさを認めてあげることが大切です。

上記の例で言えば、無理に友達と遊ばせようとするよりは「まだ慣れないからドキドキしちゃうね」などと気持ちに寄り添った声かけをしてあげて下さい。

こうした親からの声かけや受け止め姿勢によって子どもは「ドキドキしてしまう気持ちがわかってもらえて安心した。他の子と遊べないからといってママやパパは自分のことを嫌いになったりしないんだ」と確認することができます。

さらにはこの体験が「ありのままの自分を愛してもらっている」実感につながります。愛されている実感は自信を生み、これをベースに人前での自信が徐々に育っていくのです。

「なんで一緒に遊べないの」「一緒にやれてないのはあなただけよ、おかしいよ」などといった声かけはありのままの子どもを受け入れないのと同じであり、逆効果なわけです。

たとえ「みんなと一緒にやったら楽しいよ、やってみてごらん」と優しい口調で言ったとしても、最終的に子どもに伝わるメッセージが「今のままのあなたでは駄目」であれば結果は同じです。

このように自分の気質を認めてもらう周囲からの対応が繰り返されることにより、子どもは少しずつ自信をつけ友達とも遊べるようになってくるのです。

ベースの気質が内向的であっても外向的であっても、人前で自信をもってふるまえる性格になるかどうかは生まれてからの環境に左右されるところが大きいと言えます。