充実した人生に必要なのは、自己肯定感

自己肯定感とは、「自分は大切な人間だ」「自分は生きる価値のある存在だ」「自分は必要とされている」といった気持ちをいいます。

頭で思い込むものではなく、自分の中に自然と存在するものです。

どんなに勉強がよくできても、見てくれがよくて周囲からちやほやされていても、いい会社に勤めていても、自己肯定感が低いと精神的に落ち込みやすく充実した人生は送れません。

反対に自己肯定感の高い人は、たとえ成績が優秀でなくても、絶世の美男や美女でなくても、失敗が多くても、そんな自分を受け入れながら幸せを感じることができます。

自分の子どもには、どちらの人生を送ってほしいですか?

もちろん、幸せで充実した人生を送ってほしいですよね。子どもの自己肯定感を高めるには、乳幼児期からの叱り方に気をつけることが大切です。

 

自己肯定感の土台は、幼少期に育つ

自己肯定感の大部分は、幼少期の親子関係によって育ちます。とくに、叱り方によって左右されます(誉め方や、ふだんの言葉かけ、関わり方も大切です)。

叱り方を間違えると、子どもは「自分はダメな人間だ」「自分は人に受け入れてもらえない存在だ」「誰も自分を必要としてくれない」といった気持ちになってしまいます。

下の図を見てください。

自己肯定感図

世の中のルールや思いやりなどの社会的な行動は、自己肯定感が土台となってはじめて身につくものです。新しいことを吸収したり、周りの期待に応えるような行動の学習は、一番最後です。

自己肯定感が充分に育っていないと、ルールや思いやり行動を教えても思うように身につきません。同様に、ものごとに取り組む意欲や自信、学習の達成なども得にくくなってしまうのです。

 自己肯定感崩れた図

 

 

自己肯定感を育てるには、叱る前に受けとめる

叱られるようなことをしたとき、その行動をとるなにかしらの子どもなりの理由が必ずあります。まずは子どもをよく観察し、その理由や気持ちを受けとめてあげることが大切です。

1才前後の子どもが、物を投げる場面を例にとりましょう。

物を投げると、誰かに当たってケガをするのではないかとヒヤヒヤしますね。そこでママは思わず「投げちゃダメ!」と、大きな声を出したり怖い顔をしたりして、叱ってしまいます。

このとき、子どもの反応はどうでしょう?

びっくりした表情で一瞬の間を置いて、ウワーン!!と泣きはじめます。このとき、子どもはどんな気持ちでしょう?

「ママは自分を嫌いになった」「自分の気持ちなんてどうでもいいんだ」と感じているはずです。そのショックで、泣いてしまうのです。

この状態の子どもに「危ないから投げちゃダメよ」と追い討ちをかけるように言い聞かせても、もう頭の中はママに嫌われたショックでいっぱいなので、ほとんど耳に入りません。

そこで、場面に即した子どもの気持ちをまず汲みとってあげます。

「うまくいかなくて、イヤイヤになっちゃったのね」

「もう眠いんだね。つかれちゃったね」

「かまってもらえなくて、つまらなかったね」

このような声かけをすると、子どもは自分の気持ちをわかってもらえた安心感を体験できます。ママに嫌われてしまった、見捨てられてしまった、というショックを受けずに済みますね。

この場合でも泣くかもしれません。しかし泣く意味が違います。前者の対応ではショックで悲しくて泣いていますが、後者の対応では溜まった感情をママに甘えて受けとめてもらいたくて泣いています。

泣いても泣かなくても、このようにいったんは気持ちを代弁する言葉かけをしながら、抱きしめたりよしよししてあげたりしましょう。

スキンシップをとりながら自分が受け入れられていると感じると、子どもの興奮は納まります。

気持ちが落ち着いたところで、教えるべきことを伝えましょう。

「バーンって投げたら、おもちゃさんがイタイイタイだね。壊れちゃうね。」

「ママやお友達に当たったら、イタイよって泣いちゃうね」

「おもちゃが壊れて踏んだら、ケガしちゃうね。だから大事にしようね」

聞く耳のある状態なので、ママの教えに対して子どもはこくんとうなづいたり、おしゃべりができる月齢であれば「ごめんね」と言ったりできるでしょう。

このように、まずは子どもの気持ちを汲んで代弁するステップを踏んでから必要なことを伝えると、子どもの自己肯定感を下げずに叱ることができます。

咄嗟のときやママ自身が疲れているときは、つい大声で頭から叱ってしまいがちなもの。これを実践するにはママの忍耐と練習がある程度必要ですが、この方が最終的には自己肯定感や学ぶ意欲の高い子に育つので、子育て自体が楽になりますよ。

小さいうちに丁寧に関わることで将来の問題を予防できるので、子育てエネルギーの先行投資だと思って、実践を積み重ねていきましょう。