赤ちゃんは叱ってもわからない? 何才から叱ってよいの?

赤ちゃんは、叱ってもわからないと思っていませんか?

新生児期は、たしかに叱られたことを理解できません。しかし、生後4ヶ月ごろから、赤ちゃんは自分の行動が受け入れられているか否かを、感じ取ることができます。

ママが微笑みかければ赤ちゃんは嬉しい気持ちになり、反対にママが険しい表情をしたり大きな声で怒鳴ったりすれば赤ちゃんは不安になって泣きます。

してはいけないことをしたときにママが険しい表情になったり大きな声を出せば、その行動はしてはいけないことだ、と学ぶ力を生後4ヶ月ぐらいの赤ちゃんでももっているのです。ただし、1回で理解するわけではありません。何度も繰り返し伝えるうちに、そのルールを学習します。

 

叱っても赤ちゃんが笑っている、または泣いてしまう

「でも、うちの子は叱っても笑っていて、わかっているようには思えない」「叱ると泣いてしまい、かわいそうな気がする」といった理由から、どう叱ってよいのかわからないという相談をよく受けます。

たしかに、ママが怖い顔をするとかえって赤ちゃんが喜んでしまい、ケラケラと笑いながらテンションが上がることがあります。あるいは、ママに自分は見捨てられたと感じてまるでこの世の終わりのように赤ちゃんが大泣きする場合があります。

こんな反応をされると、怖い顔をしたり大きな声を出したりしたのは失敗だったのかな、と思ってしまいますね。でも、効果的な叱り方を知れば、こうした赤ちゃんの反応に振り回されずに済むようになります。

まずは、叱ることの目的を確認し、その上で効果的な叱り方をお伝えしましょう。

 

叱ることの目的は、社会のルールを教えること

叱ることの目的は、社会のルールを教えることです。叱ったときの赤ちゃんの反応がどうであれ、最終的に社会ルールの学習につなげることが大切です。

たとえば、授乳中に赤ちゃんがママの乳首を噛んだとしましょう。歯が生えはじめた赤ちゃんに乳首を噛まれるときの痛さは、とても許容できるものではありません。

相手に痛いことはしてはいけない、というルールを教える必要があります。これが、叱ることの目的です。

また、叱るときには、してよいことのルールを同時に教えることも大切です。この例でいえば、ママの乳首に歯を立てずに母乳を飲むこと、がしてよいことです。

 

効果的な叱り方は、行動と結果の結びつきを示すこと

では、どうやったら赤ちゃんに乳首を噛んではいけないルールをうまく伝えられるでしょうか?

効果的な叱り方は、してはいけない行動に対しては不快な結果を、してほしい行動に対しては望ましい結果を赤ちゃんに対して提供することです。赤ちゃんは、不快な結果が返ってきた行動は避け、望ましい結果が返ってきた行動はまた繰り返す意欲を持っているからです。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、具体例で考えれば簡単なことなので安心してください。

 

乳首を噛むことを叱る場合

さきほどの、授乳中に乳首を噛んでしまう例に戻りましょう。この場合、してはいけない行動が「乳首を噛むこと」であり、してほしい行動が「乳首に歯を立てずに飲むこと」です。

そこで、「乳首を噛む行動」に対しては赤ちゃんにとって不快な結果を、「乳首を立てずに飲む行動」に対しては望ましい結果を与えます。

具体的には、以下のように対応します。

 

赤ちゃんが乳首を噛む

       ↓

「痛いよ!」とママは怒った表情を作り、赤ちゃんをおっぱいから引き離す

       ↓

おっぱいを飲みたい赤ちゃんは、泣いて抗議する(=不快な結果

       ↓

「噛んだら痛いから、やさしく飲んでね」とやさしく声をかけながら、再び授乳する

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穏やかに戻ったママの様子に赤ちゃんは安心し、抱っこされながらおっぱいを飲む(=望ましい結果

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歯を立てずに飲む間は、「上手に飲めているね。ママは痛くないから助かるよ」などやさしく声かけしなつつ、その飲み方なら受け入れられることを明確化する

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(再び乳首を噛んだら、繰り返す)

 

この一連の流れを見ればお分かりかと思いますが、赤ちゃんにとって不快な結果とは、ママの表情が怖くなり、尚かつおっぱいから引き離されることです。

この対応を何度か繰り返すうちに、赤ちゃんは自分が乳首を噛んだときには、おっぱいから引き離されるという結果が待っていることを学びます。同時に、歯を立てずにおっぱいを飲んでいるときには、ママの表情はやさしいままで、おっぱいをとりあげられることがないことも学びます。

赤ちゃんが必要なルールをしっかりと学ぶまでは、問題の行動が起きる度に徹底して同じ対応をしてください。不快な結果がかえってきたりこなかったりといった関わり方では、赤ちゃんは混乱してしまい、なにがルールなのかがわからなくなってしまいます。

乳首を噛むといやなことしか起きないと理解した赤ちゃんは、やがて乳首を噛まなくなります。

乳首を噛んだ時に「痛いよ!」と叱っただけでは相手にしてもらったと喜んで笑う赤ちゃんでも、おっぱいから引き離されるとさすがに不安な気持ちになったり泣いて抗議したりするでしょう。このように、赤ちゃんにとって不快な結果を体験してはじめて、その行動が望ましくないことが赤ちゃんに伝わるのです。

 

どんな場面でも応用できる

この叱り方は、どのような場面でも応用できます。

たとえば、離乳食をあげる際、立ち上がらずに座って食べさせたいとしましょう。私の息子はとても食いしん坊だったので、食べたい一心ですぐに立ち上がってしまいました。

そこで、下記のように対応しました。

 

着席させて、食べさせはじめる

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もっと食べたい一心で息子が立ち上がる

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お皿をさっと持ち上げて届かないようにし、「タッチしたら食べれないよ」と制する(= 不快な結果

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「お座りしようね」と声かけをする

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少しでもお尻を下げる動きをしたら「そう、そう!」と肯定し、その動きをうまく誘導する

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息子が座ったところで、「ちゃんと座れたね。じゃ、食べようね」と誉め、

また食事を与える(= 望ましい結果

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立ち上がりそうになったら、すかさずお皿を持ち上げ、同じことを繰り返す

 

食いしん坊の息子は、立ったら食べさせてもらえないが、座っていれば食べられるというルールを、数日で学習しました。

子どもが食事中にじっと座ってくれない、と嘆くママはたいていの場合、うろうろと立ち歩く子どもを追いかけて食べさせてしまっています。これでは、座っていなくても食べられるというルールを教えているのと同じです。

基本的に子どもは、自分の利益になることならすぐに吸収する力を持っています。この特性を逆手にとって、してほしくない行動に対しては子どもの利益にならない(= 不快な結果)よう対応すればよいわけです。

そしてしてほしい行動をしたときには、すかさず誉めたりご褒美を与えたりして(=望ましい結果)、それを奨励します。

犬のしつけをしたことがある人なら、この感覚がすんなりと理解できるでしょう。

「子どもと犬を一緒にするなんて失礼な!」と感じる人もいるかもしれません。しかし、言葉でやりとりできる前段階の生後10ヶ月ごろまでは、このような関わり方が赤ちゃんにとって最もわかりやすいのです。