子どもが叱られることばかりをするのは、なぜ?

ダメだとわかっているはずなのに、子どもが叱られることばかりするのはなぜでしょう?

子どもは、ママにかまってもらうのが大好きです。そのため、満足にかまってもらえないと、なんとかしてママの気を引こうとします。

では、おりこうさんにひとりで遊んでいる時、ママは子どもにかまっていますか?

おそらく、「ひとりで機嫌よくしてくれているから、この間に家事を済ませてしまおう」と思ってパタパタと動いているのではないでしょうか。

こうした状況の頻度が高いと、子どもは「ママは自分に無関心だ」と感じてしまい、なんとかしてママの気を引こうとしはじめます。

 

関心の度合い

子どもが求める関心には、3段階ありますまずは「承認や賞賛」、つぎに「叱責」、そして最後に「無関心」です。

1. 承認、賞賛

2. 叱責

3. 無関心、無視

つまり、子どもは無関心でかまってもらえないぐらいなら、叱られてでもママに自分の方を向いてほしいのです。

小学生ぐらいの男の子が、好きな女の子にちょっかいを出して怒られたがるのと共通するものがありますね。まったく自分の存在を知らなかったり会話ができなかったりする状態よりは、「やめてよ!」と言われることでやりとりが発生する方が嬉しいわけです。

子どもが叱られることばかりする、と感じたら、

ママの気持ちを自分に向けてほしいという切なる願いかも? 

最近ちゃんと子どものことを見ているかな?

自分のことでいっぱいいっぱいになっていなかったかな?

などと、普段の関わり方を見直してください。

 

2才目前で大荒れした息子

具体例がないと、抽象的で少しわかりづらいですね。

まさにこのような時期が、私の息子が2才直前のとき我が家でもあったので、事例として紹介します。

もともと穏やかな性格で育てやすいタイプ息子が、突然棚の飾りやダイニングテーブルの上のコップを投げて壊したり、絵本を次から次へとビリビリ破き出したのです。

「投げたら危ないよ!ケガしちゃうよ!」「破いたら絵本がかわいそうでしょ。読めなくなったら悲しいよね。もう破かないでね」など、その度に伝えました。そのときは「うん」と頷くのですが、私が用事に戻ろうと後ろを振り向いた途端にまた投げる始末。

しかも、それまではできていた「ごめんなさい」を頑なに言わなくなっていました。

いったいどうしちゃったんだろう?と戸惑いつつも、ダメなことはダメと教えなくてはとそのときは思い、厳しく叱りつけることを何度もしました。

しかし、1週間以上経っても状況が一向に改善しません。

この対応で効果が出ていないことは明白です。これは、息子が伝えたいメッセージがなにかあるな、とやっと気づきました。

 

関わる時間が少なかったことに気がつく

そこで、息子への自分の関わり方を振り返ってみました。そこで気づいたのは、以下の状況です。

・家事の最中に呼ばれても、娘に「やってあげて」と対応を任せていた

・キッチンの危険な物を触られたくないので、ゲートでガードしていた

・穏やかな性格なのをいいことに、要求の強い娘の後回しにしがちだった

娘が2才のころは、他に子どもがいなかったおかげで全関心を注いであげることができていました。しかし、息子には注目してあげる時間が足りていなかったようです。

キッチンの入り口は、ゲートで塞いでいました。息子からしたら、自分が閉め出され、ママが届かない場所にいってしまったように感じていたことに気づきました。

娘はもともと要求の強い性格で、どうしてもあれこれと対応せざるを得ないタイプ。息子が穏やかな性格なのをいいことに、娘の対応に多くの時間を取られていたのだと改めてわかりました。

 

関わり方を改善したら、問題行動がおさまった

息子が叱られるようなことばかりするのは、ふだんの関わり方に原因があり、「もっとボクを見て!!」というメッセージだとわかりました。

ごめんね、そんなにつらい思いをさせてしまったんだね。

そう反省して、関わり方を改善しました。具体的には以下のポイントです。

・娘に対応を任せず、自分の手をとめてすぐに息子に対応する

・キッチンのゲートを撤去し、出入り自由にした

・以前は、息子が大泣きになるまで放っていたが、泣きはじめた段階でいってやり、「やだったね」と気持ちに共感しながら抱きしめるようにした

・「やなこと、悲しいこと、困ったことがあったら、すぐにママのところにおいで」と言って聞かせた

・抱きしめたり、「大好きだよ」「宝物だよ」「生まれてくれてありがとう」などという言葉を伝えたりする機会を増やした

・いけないことを叱るよりも、「かまってほしかったんだね」「さびしかったんだね」「やな気持ちになったんだね」といった共感的な関わりを大事にした

まず、息子が悲しかったり困ったりしたときの対応を娘に任せることをやめました。自分の用事より、息子のこころの成長の方がずっと大事。息子の思いに応えてあげられる人は、自分しかいないのです。

キッチンのゲートを撤去し、息子に「これでいつでもママのところに来られるね。今までさびしかったね。ごめんね。もう大丈夫だよ」と伝えました。そして、「やなこと、悲しいこと、困ったことがあったら、すぐにママのところにおいで」と教えました。

また、息子が泣きはじめたことに気づいたら、今までなら用事を済ませてから対応しがちだったのをやめて、すぐにそばにいってあげるようにしました。このとき抱きしめてやり、「やだったね。◯◯が悲しかったんだね」などと気持ちに共感しながらよしよししてなだめるようにしました。

その他、スキンシップのある親子遊び(たとえば手遊び歌の「パンダうさぎコアラ」や「バスに乗って」「ラララぞうきん体操」など)をしたり、「大好きだよ」「宝物だよ」「生まれてくれてありがとう」といった言葉かけをシャワーのように浴びさせてあげました。

ダメなことをしたときは、叱ることよりも、「かまってほしかったんだね」「さびしかったんだね」「やな気持ちになったんだね」といった共感的な関わりに重点を置くようにしました。

こうした関わり方をまったくやっていなかったわけではありませんが、質と量が、このときの息子にとっては足りなかったということです。

このように関わりを変えたところ、1週間後には息子の問題行動がほとんどおさまりました。

やはり、それだけママにかまってほしかったのでしょうね。ダメだとわかっていることをして叱られてばかりいたのは、息子からのSOSだったのです。

以前は突然荒れて物を投げていましたが、このころからは気持ちが高ぶった段階で私の元へ走りよるようになりました。そして、「やだった〜!」と甘え泣きするようになりました。

怒りや悲しみを物を投げることで表現するのではなく「やだった」という言葉で言えるようになったのは、気持ちに共感する声かけをしたおかげだと言えます。その後友達同士でのトラブルでも、「やだった」と言えるおかげで、相手を叩いたりひっかいたりする行動がとても少なかったです。

 

子どもの発しているメッセージを受け取ることが大切

このように、子どもが本来発しているメッセージを受け取り、それに対応すれば問題行動は解消します。

息子の場合は、「悲しい時や困ってる時はすぐにそばにきてほしい」「ゲートを閉められると拒否されているようで悲しい」「ママは自分のことはどうでもいいと思っている」といったことでした。具体的になにが悲しかったりつらかったりするのかを見極めて、そこに対応すれば大丈夫です。

「臨床心理士さんでも、子どもが荒れることがあるんですね」と言われることがあります。

もちろんです!

子どもは子ども。1人の人間です。親の職業がなんであろうと、子どもをコントロールすることはできません。

また、問題行動を起こさないことがよいわけでもありません。自分の感情を押し殺してしまう方が、問題行動を起こすことよりもずっと深刻なこころの問題へと発展します。

問題を起こさないように育てるのではなく、問題が起きたら早いうちにそれに気づき、本質的な対応をすることがなにより大切です。逆に、このようにこまめに問題に気き、対応を修正できれば、将来大きな問題へ発展しないで済みます。

子どもが叱られるようなことばかりをするときは、子どもの気持ちを受けとめたり、存在そのものを肯定してあげたり、大好きだよというメッセージを伝えてあげたりできているか、今一度確認してくださいね。