「いい子」というレッテル

「いい子」という言葉に、どのようなイメージをもちますか?

まわりから「いい子」と言われている子は、自信に溢れていますか?

「いい子」が突然キレるのは、なぜだと思いますか?

 

「いい子」とは、ひとつのレッテルです。

 

レッテルを貼られると、人はそれを満たさなければならないプレッシャーを抱えます。

たとえば、クラス内で「面白いヤツ」と呼ばれている子は、自分は常に人を笑わせることや場を和ませることを求められていると感じています。そのため、真剣になにかを伝えたいときでもおどけてしまい、不真面目な人間だと思われてしまったりします。あるいは、強く意見を言いたいときでも、場の空気が凍り付くのを恐れて笑いを誘うことで終わらせてしまったりします。

レッテルを貼られると、このようにその人が本来もっている感情や考えをうまく表現できなくなってしまうことがよくあるのです。

いい子というレッテルには、以下のような特徴があります。

・周りに迷惑をかけない

・自分の意見を主張するより、周囲との調和を大事にする

・その場がうまくいくように、自分の感情をコントロールする

・人を攻撃したり、人に嫌な思いをさせたりしない

・はめをはずしたり、感情に任せた言動を行ったりしない

他にもあるかもしれませんが、概ねこのようなイメージでしょう。

もし自分がこれらの条件を満たさないといけないとしたら、どう感じますか? とっても窮屈ですよね。

しかも共通点として、自分の自然な感情をそのまま表現することができません。常に周囲との調和ありき、です。

別の言い方をすると、ありのままの自分でいられる空間がありません。そして、ありのままの自分を受け入れられているという感覚が乏しい状態です。

 

「いい子」と 誉められて育つと、自己肯定感が育たない

 子どもが何かをするたびに「いい子だね」と誉めて育てることは、子どもに「いい子」というレッテルを貼るのと同じです。他に似たような作用を持つ言葉として、「おりこうさん」や「えらい子」などがあります。

家庭内でいい子と言われて育った子どもは、ママやパパがありのままの自分を愛してくれているという実感が乏しい状態です。

たとえば、子どもが1人でおもちゃのお片づけをしたとしましょう。

「1人でお片づけができて、いい子だねえ」

とママが誉めます。するとその子どもは嬉しそうにするでしょう。一見問題がないように見えます。

しかし、子どもの心の動きはこうです。

「お片づけをしたら、いい子だと言われた。

いい子でいれば、ママは自分を認め、愛してくれる。

これからもいい子でいなければ、愛してもらえないんだ。

がんばっていい子でいよう。」

このような誉め方をされると、子どもは「お片づけをしたから自分は愛された」と感じています。言い換えると、お片づけをしないと愛されないと感じているのです。これは非常に不安な精神状態ですね。

また、「ママを困らせないように行動してくれたから、あなたはいい子だ」という背景に隠れたメッセージも、子どもはしっかりと感じとります。そのため、ママを困らせないように行動しなくてはというプレッシャーを益々抱えます。

これでは、ありのままの自分を表現するなどもってのほかです。

何かをしてママを喜ばせないと愛されないと感じている限り、自己肯定感は育たないのです。自己肯定感とは、「自分は大切な人間だ」「自分は生きる価値のある存在だ」「自分は必要とされている」といったありのままの自分が愛されている感覚のことで、あらゆる自信の土台です。

家庭内での自分のあり方や自信(自己肯定感)が、学校や社会における自分のベースとなります。

そのため自己肯定感の乏しい子どもは、友達関係や恋人関係、学業活動などにおいても「自分は受け容れてもらえるかどうか」という不安がいつも隣りあわせとなります。

結果として「いい子」と呼ばれて育った子どもは、自信をもってものごとに取り組んだり、深い絆で結ばれた人間関係を育んだりすることがとても難しくなってしまうのです。

 

自信を育てる誉め方とは

子どもの自己肯定感や自信を育てるには、いい子という言葉を使わずに、よく出来た行動そのものを誉めましょう。たとえば以下のような言葉かけです。

「お片づけを1人でやるなんて、よく頑張ったね」

「1人でどこに何をしまうかがわかったんだね。よく覚えていたね」

このように誉めてあげれば、お片付けしなかったからといって自分が愛されないなどと、子どもは感じずに済みます。自分の頑張りや、記憶力などを認めてもらって満足した気持ちになるでしょう。

また、このように伝えてあげるのも1つです。

「ママが困らないように、1人で頑張ってくれたのかな。

ありがとう。おかげでママはとても助かったよ。

ママも、あなたが困った時は助けてあげるからね。」

このような伝え方であれば、子どもの優しい気持ちを認めて受けとりつつも、いつもそうするようプレッシャーを与えることにはつながらずに済みます。

 

愛情を交換条件にしてはいけない

「◯◯をしないと愛さない」というメッセージは、強烈な効果を持ちます。子どもは常にママやパパからら愛情を求めているからです。

そのため、「いい子でいないと愛されない」と感じると、一生懸命いい子でいようとします。この状態は、親にとっては好都合ですが、子どもにとってはまさに生き地獄です。

努力に努力、我慢に我慢を重ねて頑張って「いい子」を維持しています。しかし、我慢はいつしか破壌してしまいます。たいていは、思春期にこれが起こります。

いわゆる「いい子が突然キレる」現象です。

キレられてはじめて、わが子にひどいことを強いてきたと気づく親がほとんどです。ここから親子の信頼関係を修復するのは、相当なエネルギーと努力を要します。

そうならないためにも、ぜひ子どもが乳幼児期のうちから「いい子」というレッテル貼りはしないように気をつけてあげましょうね。

子育てにおいて、どうやったら子どもが言うことを聞いてくれるかというのは、永遠のテーマです。子どもが欲しがる交換条件と引き換えにすると、うまくいくことは多いもの。

でもその交換条件が、愛情であってはいけないのです。

「お着替えがひとりで出来たら、かくれんぼ3回やろう!」

「ご飯を全部食べられたら、ご褒美にみかん1個あげるね」

こんなふうに、子どもが喜ぶほかのことを引き合いに出して、うまく子どものやる気を引き出していきましょうね。