言わせようとするのは効果的ではない

子どもに言葉を覚えさせたくて、子どもに物を指し示しながら「これはバナナだよ、バナナ。言ってごらん?」と言わせようとするのは、NGです。

子どもなりに「自分はうまく話せない」という苦手意識を抱えている場合もあるからです。強制的に言わせようとすると子どもの抵抗にあってしまい、ますます言葉を発したがらなくなることもあります。

言葉を伸ばすには、「気持ちを伝えたい!」「気持ちが伝わるって嬉しい!」と子ども自身が感じるのが大前提だと覚えておきましょう。

 

黒子になったつもりで代弁する

声かけのコツ① は、子どもの黒子になったつもりで代弁することです。

(黒子とは、日本の伝統芸能において全身を黒い衣装で覆い、浄瑠璃人形や役者の背後に立って演技を助ける後見人のこと。)

たとえば、絵本を見せながら「ほら、ワンワンだよ、かわいいね」と子どもの注意を引こうとしたとしましょう。しかし子どもは絵本を見るどころか、ママの耳たぶからぶら下がっているピアスをいじりはじめました。こうしたことはよくありますね。

そこで、絵本に注目させようとするのはさっさとやめて、子どもの目線に入ってください。

もしこの子が今自由に話せるとしたら、なんて言うだろう?いまどんな気持ちだろう?と想像してみましょう。そして代わりに話してあげます。

この場面であれば、

「これなんだろう? 」

「キラキラしてるなあ。きれいだなあ」

「ゆらゆら〜。よく動くね」

などといった言葉が浮かび上がります。

可能であれば、ピアスをはずして持たせてあげましょう。子どもがピアスをゆらしたら、また「ゆらゆら〜。キラキラだね。光ってるね。きれいだね」などと代弁を続けましょう。

このように子どもの目線から声かけをすることは、どのような場面でも可能です。

 

興味や気持ちと言葉が一致することで、言葉を学習する

子どもの黒子になって声かけをすることがなぜ言葉の学習に取って効果的かというと、子どもがその瞬間に抱いている興味関心や感覚と、耳から入る言葉がいつも一致するからです。

「この物体の名前は、ピアスって言うんだ」

「この光る感じは、キラキラって言うんだ」

などとその場で学習が進みます。

子どもの興味がママのピアスに行っているときに、いくら絵本のワンワンを見せたところでワンワンという単語はなかなか頭に入らないわけですね。

また、五感(触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚)に注目してだくさん代弁してあげましょう。

五感を伴う感情はより印象強い体験なので、子どもにとっては覚えやすいという特徴があります。「ふわふわだね」「つるつるだね」「おいしいね」「あったかいね」「うるさいね」「くさいね」「まぶしいね」などバリエーション豊富な言葉があるので、いろいろ使ってあげましょう。

五感からくるある特定の刺激と、耳から聞こえる言葉がセットになって体験されることで、言葉の学習が進みます。

 

何を話してよいかわからないママにもできる

話せない子どもと一緒に居ると、何を話してよいかわからず自分も無口になってしまう、というママもいます。しかし一日中一緒に過ごすママが無口だと、子どもにとっては言葉の刺激がとても少なくなってしまいますね。

そのような悩みをもつママでも、このように子どもの目線から話すことを覚えれば、自然といろいろな声かけができます。

無口になりがちだったママがこのような声かけの仕方に変えてみたら、子どもの単語数がぐんぐん増えたという報告は実際にたくさん経験しています。簡単な方法ですので、ぜひ今日からやってあげましょうね。