赤ちゃんの運動機能は、部位ごとに順を追って進みます。ここでは、そのひとつずつを順番に解説しましょう。発達の順序が理解できると、赤ちゃんの成長の一つ一つがさらに興味深いものとなります。

私は自分の子育てを通して、赤ちゃんの発達が次の過程を進もうとする様子を見る度に、深い感動を覚えたことを鮮明に覚えています。命ってすごいな、自然ってすごいな、と毎日のように思ったものです。

こうした感動は、子どもを育てる醍醐味の一つです。

 

運動機能の発達は、頭から始まる

赤ちゃんの運動機能の発達は、頭から始まり、身体の下方向へ進みます。具体的には、目→首→腕→手→腰→足の順番で発達します。

この順番は普遍的であり、順番を飛ばして運動機能が発達することはありません。積み木をひとつずつ重ねるように、順を追って進みます。

 

目の運き

身体の中でまず最初に赤ちゃんが自由に動かせるようになるのは、目です。

生後数日後から、ママやパパが顔を覗き込むと、赤ちゃんはゆっくりとした目の動きによって視線を合わせることができます。

生後2〜3週間もすると、赤ちゃんは視線を自由に移動させることができます。たとえば、目の前におもちゃをぶらさげ、赤ちゃんが注目しところでゆっくりとそれを右側に移動させると、赤ちゃんの目もそちらへ動きます。これを追視と呼びます。

 

首の運き

追視ができるようになると、赤ちゃんはつぎに頭を動かせるようになります。頭を動かすには、首の筋肉を動かせるようになったということです。まずは生後2週間ごろから、左右の動きを獲得します。

たとえば、大きな物音が左方向でしたときに、首を向左へ向けることができます。ベビーベッドなどに寝かせておくと、人の声のする方向へ向いていることが多くなります。

生後3〜4ヶ月ごろには、頭を上下左右のどの方向にも自由に動かせるようになります。このように、自由に頭を動かせることを、首すわりの完了と表現します。

首がすわると、どのような体勢で抱っこをしても、赤ちゃんの頭ががくっと落ちることがなくなります。抱っこする時に赤ちゃんの頭を支えておく必要がなくなり、ママは片手が自由になるので、抱っこしながらでも用事を済ませやすくなります。

自分の意志で周囲をきょろきょろ見回すことができるので、首すわりが完了した赤ちゃんは、外界のいろいろな物事に興味を持つようになり、精神面が飛躍的に発達し始めます。

 

腕や手の動き

首が自由に動かせるようになると、つぎは腕や手を意志通りに動かせるようになります。目安としては、生後4ヶ月ごろからです。

赤ちゃんの目の前になにかを差し出すと、ぱっと手を伸ばしてつかみます。始めのうちはうまくつかめず、手が当たるだけですが、だんだん手指の動きがよくなって、つかめるようになります。

街で見かけた赤ちゃんが、おもちゃを手で握ってしゃぶっていたら、生後4~5ヶ月以降だと思って間違いないでしょう。

 

腰の動き

手が上手に使えるようになった後は、腰がすわります。文字通り、お座りができるようになることを意味します。だいたい生後5~6ヶ月ごろが目安です。

腰が据わるには、腹筋と背筋がバランスよく発達しなければなりません。筋力を鍛えるちょうどよい動きが、生後4ヶ月ごろから始まる寝返りです。

あおむけの状態から寝返りをするには、足を少しもちあげてひねる動きが必要です。やってみるとわかりますが、腹筋に力を入れないと寝返りはできません。

私は帝王切開で出産したため腹筋を切りましたが、術後しばらくは寝返りを打つことができなかったことを思い出します。赤ちゃんがころころと寝返りをするのは、日々腹筋のトレーニングになっているのです。

また、あおむけから寝返りをすると、うつ伏せになります。このとき、赤ちゃんは両手を床に着けながら顔を上げます。この体勢で周囲をキョロキョロしたり、手近にあるおもちゃを手に取ってしゃぶったりします。こうした動きは、背筋のトレーニングになります。

寝返りのあとにお座りができるようになる、という順番が決まっているのは、このためです。

 

足の動き

お座りができるようになると、 いよいよ足を自由に動かせるようになります。

足をバタバタさせる動きは、新生児のころからできますが、歩行に必要な筋力はまだありません。歩行に必要な筋力は、ハイハイやつかまり立ち、つたい歩きなどを通して発達します。

とくに生後6~7ヶ月ごろ始まるハイハイを長い期間行うことが、安定感した歩行につながると言われています。バランスのよい身体をつくるために、赤ちゃんがハイハイを始めたら、追いかけっこ遊びなど身体を動かす遊びををたくさんしてあげましょう。

ひとりで歩けるようになるのは、だいたい1才前後です。しかし個人差が大きく、早い赤ちゃんだと生後11ヶ月で、ゆっくりめの赤ちゃんだと1才5ヶ月ぐらいまで歩かないこともあります。なかなか歩かない子どもは、慎重な性格が要因となっていることもあります。