免疫力は腸の細菌バランスに左右される

「健康は宝」とはよく言ったもので、わが子が病気せず元気に過ごしてくれることはどの親にも共通する思いです。

健康な状態を維持するのは、身体中の粘膜に存在する免疫システムです。粘膜の70%が腸という長い臓器に集中しており、腸内の細菌が免疫力を活性化します。

つまり、子どもが元気に育つには、腸内細菌のバランスをよい状態にすることが重要です。

 

腸内細菌バランスは後天的に作られる

腸内の細菌は約300種類もあり、どの菌が何個存在するといった細菌バランスは、指の指紋がひとりひとり違うように、個人によって異なります。実は、その人の生涯の細菌バランスは1才を迎えるまでにほぼ確立されます。

子宮内は無菌状態なので、生まれる直前まで赤ちゃんの腸には菌が存在しません。生まれた瞬間から世の中のいろいろな菌にさらされます。身体にとって害となる菌もいるので、それらに対抗する力を獲得しなくてはなりません。

たくさんの人と触れあったり、衣類やタオルなどの物と接触したり、空気中の雑菌を吸ったりしながら、赤ちゃんは善玉菌も日和見菌も悪玉菌も取り入れます。

最もふれあう機会が多いのは、(特別な状況を除いては)ママです。ママの持っている皮膚常在菌などをもらうことが多くなり、赤ちゃんの腸内環境はママのそれと似てきます。このようにして、赤ちゃんの腸内細菌バランスは後天的につくりあげられます。

 

腸内細菌の種類は多い方がよい

では、悪玉菌をシャットアウトするよう、出来るだけ無菌状態で赤ちゃんを育てた方がよいのでしょうか?

答えは、NOです。

つよい免疫システムができるためには、腸内細菌の多様性が大切だとわかっています。身体にとって有害なガスをつくる悪玉菌でさえ、ゼロではバランスがとれません。

多種多様な雑菌とふれ合い、それらを体内に取り込むことで、たくさんの腸内細菌が生息するよい腸内細菌バランスがつくられます。人間の生涯の腸内細菌バランスは、1才を迎えるまでにほほ確立してしまいます。

 

過剰な抗菌文化が招いた免疫力の低下

現代日本は、文房具やじゅうたんなどあらゆるものが抗菌加工された「抗菌文化」です。しかし。抗菌に使用される薬が多くの場合において有害なだけでなく、赤ちゃんにとっては多種多様な菌類と接触する機会を奪っています。

過剰な抗菌文化が、免疫力の低下を招いているのです

アトピーや食品アレルギーなどさまざまなアレルギーをもつ子どもたちが増えている要因とも考えられています。アトピー性皮膚炎を発症している赤ちゃんたちを対象にしたある研究によると、なんと4割の赤ちゃんの腸内に大腸菌が全く存在しなかったという衝撃的な結果が出ました。

大腸菌は悪玉菌ではありますが、健康な腸内バランスにとっては必要な菌です。

赤ちゃんは、手でつかんだ物はなんでお口に運んでなめまわします。ハイハイができるようになると、床に落ちた食べかすなどを拾って食べることもします。外にいる時でも、おかまいなしになんでも口に入れたがるのは自然なことです。

こうした行動は、感触を確かめる遊びとしての意味以外に、雑菌を取り入れるという大切な意味があります。

また、必要以上にお風呂に入り、せっけんで洗いすぎていることも多いようです。石けんやシャンプーなどで洗うと、皮膚の常在菌が洗い流されます。常在菌は肌バリアをつくるのに必要な菌で、一度洗い流すと再生するのに12~20時間ほどかかります。

朝晩の2回シャワーを浴びるなど過剰に洗う生活をすると、常在菌が戻らなくなり、皮膚の角質がバラバラになったりアレルギーの元となるアレルゲンがそこから入り込んだりして、アレルギー症状を引き起こしやすくなります。

今使っている抗菌加工のグッズが本当に抗菌される必要があるのか、子どもや自分の身体を必要以上に洗浄していないか、今一度見直してみましょう。

 

外遊びが免疫力を高める

「汚れるとあとの始末が大変だから」という理由で、外で土や砂を触らせる遊びをする親が減っています。しかし土や砂には土壌菌と呼ばれるさまざまな細菌類が含まれています。

土壌金は日和見菌の一種で、理想的な腸内バランスは、善玉菌2 : 悪玉菌1 : 日和見菌7です。土壌菌は腸内細菌の7割を占め、免疫力を活性化する存在なのです。免疫力をあげるために、土壌菌のサプリメントが販売されているくらいです。

土や泥に触れる外遊びは、ぜひ1才になる前からたくさんして土壌菌を取り入れさせてあげましょう。まだ口になんでも入れる時期に砂場で遊ばせることに抵抗があるなら、芝生の公園でハイハイさせてあげてください。草や葉っぱを握らせてあげるときっととても喜びます。

兄弟のいる赤ちゃんの方がアレルギー症状をもつ確立が低い、と多くの研究が報告しています。おそらく、お兄ちゃんやお姉ちゃんが外遊びをして拾ってくる土壌菌をはじめとしたさまざまな菌類と接触するからだと思われます。

また、外で腰を下ろして空や木々を見ながら時間を過ごすと、ママやパパも気持ちが安らぐことでしょう。赤ちゃんも、いつもと違う新鮮な空気を吸って、ご機嫌に過ごせるかもしれません。

気持ちが晴れやかになりストレスが減少することも、免疫システムを強化します。赤ちゃんのためだけでなく、家族みんなのためにも、どんどん外で遊ぶようにして腸内の細菌バランスを育てましょう。