「いつでもおっぱいをあげる」スタイルは断乳を難しくする 

新生児期に「泣いたらいつでもおっぱいをあげてくださいね」と助産師さんや保健師さんに言われたことのある方は多いでしょう。たしかに新生児期は、「抱っこしながらおっぱい(またはミルク)を飲ませながら安心感を与えること」が子どもの育ちにとって非常に大切です。

しかし、言葉を理解しはじめる生後6ヶ月以降(個人差があります)は、おっぱいをあげる以外の方法で子どもの気持ちを落ち着ける対応をする必要があります。具体的には気持ちを代弁したり受け取ったりする対応であり、こうした対応が子どもの人格の成長の土台を作ります。

また、「泣いたらいつでもおっぱいをもらえる」と思っている赤ちゃんに育つため、将来的に断乳が非常に難しくなります。

 

断乳には段取りが大切

断乳の失敗例に多いのは、夜間に泣かれる度に子どもにおっぱいをあげて寝かせてきたケースです。ママの睡眠不足が限界に達し、「もう無理!」と突然断乳を決行してしまうのです。

しかし子どもの準備状態ができていないので、「夜間に執拗に泣かれ、もともと疲れきっているママが根負けして結局またおっぱいをあげてしまう」のです。

断乳を成功させるためには、段取りを踏むことが大切です。まずは以下の2点を実行する必要があります。

1)   寝かせつけと夜泣きには、「おっぱいをあげる以外の対応方法」を定着させる 

2)  授乳回数と授乳時間を徐々に減らす

 

1) 寝かせつけと夜泣きには、「おっぱいをあげる以外の対応方法」を定着させる  

母乳育児をしているママの多くは、寝かせ付けの際に「おっぱいを飲ませる」方法をとっています。これは新生児期の授乳スタイルをそのまま続けてきた結果です。

新生児には、おっぱいを飲むだけでもものすごい運動です。そのため、飲み終える頃には疲れて寝てしまいます。

また「おっぱいを飲んでいることでお腹が満たされる」「抱っこされていることで気持ちが満たされる」というふたつの条件が安心感を生み出し、眠りを誘います。

おっぱいを飲ませながら寝かせつけることを新生児期以降も続けると、この二つの要素が「眠るための絶対条件」として定着するのです。逆に言うと、おっぱいを飲ませないとなかなか寝てくれません。

そのため、生後5~6ヶ月ごろに起こる断続的な「夜泣き」のときもママは「てっとりばやく寝かせる方法」としておっぱいをあげるようになります。こういうやり方をしているママは、日中も「泣いたら最終的におっぱいをあげる」対応をしていることが多いのです。

つまり「いつでもおっぱいをあげる」スタイルです。

果たしてこの状態である日断乳を決行して、うまくいくでしょうか? 子どももママも、大泣きしたときに「おっぱいを飲む以外の方法の落ち着き方」を知らないので、2~3日目で挫折することが多いのです。

断乳を見据えるなら、抱っこやおんぶをするか、添い寝しながらトントンとやさしく叩いてあげたりする方法などに寝かせつけ方法を変える必要があります。時期は睡眠リズムが整ってくる6ヶ月ごろからがよいでしょう。

こうした方法で眠れることが定着してからの断乳であれば、夜中に子どもが泣いて起きても再び寝かせつけることができます。

 

授乳回数と授乳時間を徐々に減らす

断乳を成功させるには、おっぱいをあげる回数とあげている時間を徐々に減らす必要があります。それは乳房の負担を軽くするためです。

まず、乳房が母乳を分泌する仕組みを理解しましょう。

子どもの舌が乳首をしごく刺激を受けて、乳房の中の乳腺が母乳を分泌します。つまり子どもが飲めば飲むほど、乳房は「もっと母乳を作らなくては」と理解して母乳分泌をします。

「子どもが泣いたらいつでもおっぱいをあげるスタイル」をとっているママの乳房は、いつでも母乳分泌する体勢を整えているのです。

こうしたママはたいてい一日8回以上母乳を飲ませています。この状態である日断乳を決行しても、乳房は昨日までと同じようにたくさんの母乳を分泌します。

当然母乳が余ってしまい、乳腺内に貯まります。ある程度は身体に吸収されますが、固まりが残ってしまうことがあり、乳腺炎を引き起こす可能性が高くなるのです。

乳腺炎は、詰まった乳腺に強い痛みと熱が生じ、ママ自身も高熱を出すことが多いです。寝不足などで体力が落ちていると余計になりやすいものです。

実際、「寝不足の末、突然断乳を決行してみたら乳腺炎になって三日間高熱を出した」人が私の知り合いだけでも数人います。

乳腺炎までいかなくても、出口を失った大量の母乳が乳房いっぱいに貯まると非常に痛いです。私は長女が1才の誕生日月に突然卒乳してしまった経験があります。まだ一日6回くらいは飲んでいたため、分泌過剰となりました。

腕を真上にあげることができないくらい乳房がカンカンに張り、とても痛い思いをしました。

断乳をするなら、乳房の分泌を断乳前に減らしておき、ママの負担を少なくする必要があります。そのためには、授乳回数は一日3回程度までは減らした方がよいです。1才前後であれば離乳食が三回食になっている頃です。

食後におっぱいをあげるようにすると規則性を守りやすく、すでにお腹が満たされているので飲む量が少なくて済みます。

さらに授乳時間を減らします。いままで一回につき10分あげていたのなら、8分→6分→3分と少しずつ短くしていきます。こうすることで乳房の母乳分泌量が自然と少なくなります。

 

まとめ

断乳を見据えるなら、「いつでもおっぱいをあげる」スタイルは長くても6ヶ月くらいまでにしましょう。

それ以降は、「おんぶや添い寝などで寝かせつけを行う」「授乳回数を徐々に三回までに減らす」ようにします。これらが定着したら、断乳がだいぶスムーズに進みます。