減感作療法という、アレルギー症状に対する療法があります。

脱感作療法や免疫療法と呼ばれることもあります。特殊な療法なため、どこの病院でも行われているわけではありません。

ここではどのような方法で行われる療法なのか、説明しましょう。

 

減感作療法の考え方

感作とは、ある生体が特定のアレルゲンに繰り返し接触することにより、そのアレルゲンに対して抗体反応を起こしやすい状態になることを言います。ここでいう抗体反応とは、過剰に抗体をつくる状態のことであり、これによりアレルギー症状が現れます。

同じ塗り薬や基礎化粧品を長年使い続けていたら、ある時から使用後に肌が赤くなったり湿疹ができたりして合わなくなる、といった経験をされた方は多いでしょう。その塗り薬や基礎化粧品の成分に対し、感作が起きたということです。

減感作とは、この逆を意味します。

もともと抗体反応を起こすアレルゲンを、極めて少量に希釈して体内へ入れます。あまりに少量なため、身体はそのアレルゲンを異物としてみなさず、受け入れます。

免疫システムを擬人化して考えると、「おや? これは外敵かな? でも小さすぎてよく見えないからわからないな。まあ、いいか」といったところでしょう。

数日間アレルギー症状が起きなければ、初回よりもわずかに量を増やして再び体内へ入れます。ここでも数日間アレルギー症状が発症しなければ、また微増して体内に入れることを繰り返します。

この行程を何度も繰り返すことで、免疫システムがそのアレルゲンを異物とみなさなくなる、というのが減感作療法の原理です。簡単に言うと、わずかな量から身体を慣らしていくということです。

子どもの苦手な食べ物を克服させる時、1さじだけ食べることから始めて、やがて3さじ、5さじ、そして最後には全部を、というふうに段階的に増やしていきますが、そのやり方と似ていると言えます。

 

注射による方法

アレルゲンを含む液を注射によって体内に入れる方法です。花粉やハウスダストなどのアレルゲンを希釈した注射液を使います。

毎週1回の注射を、まず2~3ヶ月程度続けます。アレルギ症状が出なければ、少しずつ注射液の濃度を上げながら、注射を打つ感覚を開けていきます。

順調であれば6〜9ヶ月目ごろに、1ヶ月に1回程度の注射となります。主治医の判断によりますが、1年を経過したあとは数ヶ月に一度が目安です。

効果を定着させるためには、3年以上の継続が必要だと臨床データが示しています。

 

舌下減感作療法

注射による方法は痛みを伴うだけでなく、通院に伴う時間的、経済的な負担も大きなものです。そのデメリットを補いべく開発されたのが、舌下免疫療法です。2014年に保険適用となりました。

読んで字のごとく、この方法ではアレルゲンを舌の下に接触させて摂取します。2分間ほど舌下で保持したあと、アレルゲンを吐き出します。非常に低い濃度のアレルゲンからはじめ、徐々に濃度を上げるのは注射式と同じです。

最初の4週間は毎日1回行います。注射と違って、自分で自宅で行えることが大きなメリットです。舌下に置くエキスは1ヶ月分をまとめて処方してもらうことが可能です。

しかし、毎日欠かさずに自分で行う必要があります。自己コントロールが苦手な人には向かない方法かもしれません。

この方法でも、効果を定着させるには2年以上の継続が必要です。

 

経口脱感作療法

アレルゲンが食品の場合は、その食品を極少量ずつ口に入れて食べて減感作を起こします。

処方薬が必要ないので自宅でいつでも実践可能なのがメリットです。しかし、最初に摂取すべき量、何日間ごとに増量するのか、どの程度増量するのか、など専門家による判断が必要です。

かかりつけ医と相談しながら実施するのが賢明です。

また、摂取する食品のコントロールはそれほど簡単ではありません。 経口脱感作療法を実践する間は、加工品の食べたりや外食することをやめる必要があります。子どもの場合、友達のおやつを親が知らない間にわけてもらって、アレルゲンを摂取してしまう可能性があります。

大人であれば、仕事や付き合いで外食をする機会が多々あります。こうした環境下でこの療法を行うには、相当な覚悟と強い意志がないといけません。

効果が定着するには、2年程度の継続する必要があります。

 

減感作療法の効果

時間と根気のいる減感作療法ですが、その効果はどうなのでしょうか。

臨床データに多少のばらつきがあるようですが、だいたい70%ぐらいの人にアレルギー症状に改善が見られた、もしくは完治したとされています。

70%といえば、4人のうち3人程度ということです。反対に言うと、4人のうち1人には効果がないということでもあります。この数字を高いと感じるか、低いと感じるかは人によるでしょう。

また、どの方法を採用するにしても、アナフィラキシーショックを起こすリスクを伴います。