悪玉菌は本当に悪いものなのか

悪玉菌、という名前を聞くと、いかにも身体に悪い作用しかもたらさない存在に思えます。

しかし、理想的な腸内細菌バランスは、善玉菌2 : 悪玉菌1: 日和見菌7 です。悪玉菌が全くいなくなってしまったら、免疫システムはうまく働かないのです。

では、悪玉菌は体内でどのような働きをしているのでしょうか。

 

悪玉菌は増えすぎが問題

悪玉菌自体が悪い存在なのではなく、悪玉菌の増え過ぎが問題です。

悪玉菌の働きとしては、善玉菌と同様に、外界から侵入しようとする有害物質をやっつける性質を持っていることがわかってきました。善玉菌ではかなわない外敵がいたときに、悪玉菌がそれを退治してくれるのです。

腸内研究の第一人者である東京医科歯科大学の藤田浩一郎名誉教授は、悪玉菌のことをこのように形容しています。

「悪玉菌を人間社会で例えてみると、昼間から町内で酔っぱらっているような厄介者だけれど、困っている物を放っておけない、義理人情にあつい頑固親父とでも言いましょうか?」

実に言い得て妙です。しかも、町内が腸内とかけてあり、見事な表現と言えます。

悪玉菌は、増えすぎなければ身体に対してとくに悪さはしません。

 

悪玉菌が増えすぎるとどうなるのか

悪玉菌は、未消化のタンパク質を腐敗させ、有害な毒素を発生させる性質があります。この有毒ガスは、少々の量あれば人体にとりたてて害はありませんが、増えすぎると免疫力の活性化を妨げてしまいます。

その結果、病気のリスクを高まったり、老化現象が早まったりするのです。

 

なぜ悪玉菌が増えるのか

では、悪玉菌が増えすぎてしまうのは、どのような条件下でしょうか。

主に3つの要因があります。それは、身体の冷え、食生活の乱れ、医薬品の影響、そして精神的なストレスです。

 

身体の冷え

善玉菌は、温かい環境を好みます。冷たいものを採りすぎたり、薄着で過ごしたり、冷房を使いすぎたりすると、内蔵が冷えてしまいます。冷えた腸内では善玉菌が弱ってしまうのです。

反対に悪玉菌は、冷えた環境で増殖する性質をもっています。冷えは身体に良くないとよく耳にしますが、悪玉菌に好都合な環境だということはあまり知られていないでしょう。

 

食生活の乱れ

食生活の乱れは、冷たい物の食べ過ぎ以外に、肉中心の食生活を指します。肉のような高タンパク質は、悪玉菌の大好きな餌なのです。

洋食中心の食生活をしばらく続いたあとに、自分の便が「臭い!」と感じたことはありませんか?それは悪玉菌が増殖して、有害なガスの発生量が増えた証拠です。

一方、味噌やぬか漬けなどの発酵食品は、善玉菌を増やします。みそ汁やぬか漬けで食べる野菜の食物繊維は、善玉菌が食べ物を発酵させたり酸を作り出したりするための基質となります。さらに食物繊維は腸内の腐敗物を吸着し、便として外に出してくれます。

こうして考えると、野菜が多く摂れて肉類の少ない和食中心の食生活が健康によい、と言われる理由がよくわかります。

 

医薬品の影響

風邪をひいたり、頭痛がしたりした時に、医薬品を利用する人は多いでしょう。善玉菌は、強力な薬には弱いという性質があります。

子どもに抗生物質を数日間与えたら下痢をしてしまった、ということはよくあります。これは善玉菌が死んでしまい、悪玉菌が増えてしまったことによります。

 

精神的なストレス

脳が感じたストレスは、すぐさま脊髄や自律神経を通じ、胃と腸の神経細胞に伝達されます。これにより消化液の分泌が悪くなり、善玉菌が生きにくく悪玉菌が活性化しやすい腸内環境に傾いてしまいます。

腸は、別名ストレスセンサーとも呼ばれるくらい、精神的なアップダウンの影響を受けやすい臓器です。またセロトニンという元気の源ともいえる物質のほとんどが、腸内で作られています。健康な腸は元気を生み出し、精神的な安定は腸の働きを強めてくれるのです。

 

悪玉菌の増え過ぎに気をつける

腸内の細菌数は、いってみれば定員が決まっています。その中で善玉菌が減ると、ふだん押さえ込まれていた悪玉菌があっという間に勢力を拡大してしまいます。

悪玉菌を増やさないようにし、善玉菌優勢な腸内細菌バランスを維持するには、身体を温め、野菜中心の食生活を心がけ、安易に医薬品に頼らないようにし、リラックスしたり楽しいと感じる時間を増やしたりするといった、当たり前のことが大切です。